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生野町の奥座敷、史跡・生野銀山から車で約30分、静かな山郷にたたずむ湯宿の大将の四方山話を少し。
生野渓谷黒川温泉、山の料理、季節の風景などをご紹介します。のんびりした時間や空気が届いたら、ええなあ。
最終更新日:2016/05/15(2008/07/04公開)
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日本には40種類以上のホタルがいるといわれていますが、やまびこ山荘の周辺でよく見られるホタルはゲンジボタルとヒメボタルです。他の地域では6月上旬から飛び始めますが、黒川では約ひと月遅く、6月末から7月初め頃に飛び始めます。
やまびこ山荘では、温泉につかりながらゲンジボタルの飛翔が見られます!! また、近くの遊歩道からホタルの乱舞が観賞できます。夕涼みがてらの散策もお薦めです。
腹部が発光することを光源氏(紫式部の源氏物語の主人公。清和源氏とは関係がありません。)にかけて名付けられたゲンジボタルは、日本産ホタル類の中では大型の種類です。本州、四国、九州と周囲の島の水がきれいな川に生息しています。(ゲンジボタルに似たより小型の違う種類のホタルには、源氏との対比で「ヘイケボタル」の名が付けられています。)
地方によって差がありますが、5月から6月にかけて成虫になり、オスは川の上空を飛び回りながら、メスは川辺の草の上などに止まって発光します。発光のパターンは、富士山を境として西日本と東日本で異なり、西日本のほうが速いテンポで発光します。これらの分布は、高山の気候に耐えられた(山を越えられた)個体群が関東へ生活域を広げたと考えられています。
宿の近くで乱舞するゲンジボタル <photo : June 2008>
ゲンジボタルの成虫には次のような特徴があります。
成虫が活動するのは夜で、昼は深い草陰で休んでいます。発光によって他の個体と通信し、出会ったオスとメスは交尾をします。交尾を終えたメスは川岸の木や石に生えたコケの中に産卵します。成虫は水分を摂取するだけで、活動や産卵は幼虫時代に摂った栄養分でおこないます。成虫の期間は2~3週間ほどしかありません。
卵ははじめ黄白色で、やがて黒ずんできます。卵の発育が進むと、卵の中で幼虫が発光を始めます。
夏になると灰褐色のイモムシのような外見の幼虫が孵化します。親とは似ていないが、すでに尾部に発光器官を備えています。幼虫はすぐに川の中へ入り、清流の流れのゆるい所でカワニナを捕食しながら成長します。カワニナを発見すると軟体部にかみつき、消化液を分泌して肉を溶かしながら食べます。
秋、冬を経て翌年の春になる頃には、幼虫は体長2~3cmほどに成長して成虫よりも大きくなります。
春になって充分に成長した幼虫は、雨の日の夜に川岸に上陸して川岸のやわらかい土にもぐりこみ、周囲の泥を固めて繭を作り、その中で蛹になります。蛹ははじめ黄白色ですが、やがて皮膚越しに成虫の黒い体が浮かび上がるようになり、発光もはじまります。
ゲンジボタルは初夏の風物詩として人気が高く、保護、繁殖の試みが各地で行われていますが、遺伝的に異なる特性を持った他地域のホタルの増殖、放流による遺伝子汚染が問題になってもいます。
ヒメボタルは、コウチュウ目ホタル科の昆虫の一つで、西日本の林地や草地に棲む陸棲のホタルです。
かなり強く発光するホタルですが、川辺などの開けた場所ではなく森林内などの人目につきにくい場所で光るので、ゲンジボタル、ヘイケボタルに比べるとあまり知られていません。
メスが飛行できないので生息地の移動範囲が狭く、隔離されがちで、地域により体長など遺伝的特性に著しい差があり、比較的大型のものが分布する地域もあります。
森林で光るヒメボタルの群れ <photo : July 2008>
5~6月に羽化する成虫は、ヘイケボタルより更に小さく、体長が7㎜程です。頭部と羽根は黒く、前胸は赤くなっていますが、ゲンジやヘイケのような中央の黒い筋がなく、前方が少し黒ずんでいます。
メスはオスより一回り大きく、太っています。外見的には羽根がありますが飛べません。
幼虫は林床に棲む陸生で、カタツムリやキセルガイなどを食べます。
成虫の発光は、ゲンジやヘイケに比べると弱いのですが、鋭く光り、色は黄色みを帯びています。オスは飛翔しながら発光しますが、メスは草木につかまった状態で発光します。ゲンジやヘイケの発光は強さがゆっくりと変化しますが、ヒメボタルは歯切れ良く明滅します。
やまびこ山荘がご案内する観賞スポットでは、ヒメボタルの飛翔は、日没2時間後頃の30分間くらいしか見ることができません。 うまく見られたらラッキーかも!?
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